マジ神!【緊急入院8】

緊急入院




深夜の病棟はおどろおどろしい。

夜勤の看護師さんの足音と、会話だけが院内に響く。

たまに、どこかの病室の誰かと、会話しているのが、かすかに聞こえる。

正直、オレの精神状態もヤバくなってきていた。

看護師さんの話し声が、「ノブオ〇〇〇〇・・・」と聞こえるのだ。

オレの話題なんてしていないと思うが、確かにそう聞こえる。

天井には意味不明のカタカナが見える。

もう嫌だ!

ここを出たい!

その時、カーテンごしにペンライトで、オレを執拗に照らしてくる人がいた。



夜中のトイレ

最初は寝たふりをしていたが、いつまでも照らしてくるので、目を開けた。

すると、さっきの、オレの苦手な看護師さん。

「ノブオさん、トイレ、一回行ってみましょうか」

どうやら、オレの小便のことが院内の連絡網にもいきわたっているらしい。

書き忘れたが、今日の夕方、美人の主治医が来て、いろいろ質問された。

まばゆいくらいの知的さと美人さとかわいさで、オレはほとんど上の空で返答したのを覚えている。

年のころは20代に見える。

20代で緊急センターの医師なんて、なんて優秀な女性なんだろう。

あからさまな無職の、ヒゲぼうぼうなオレが、恥ずかしくてたまらなかった。

「ノブオさん、トイレに行ってみましょう」

美人女医を思い出してボーッとしてたが、看護師の声で我に返った。

「行ってもでないと思いますよ」

オレは苦笑いしながら答えた。

「カテーテルいれたのが今日の214時くらいですよね。今10時だから、8時間経ってます。尿は溜まっているはずです」

「でも、水飲んでませんよ」

「その分、点滴をしてます」

オレは少し考えた。

すると、看護師は、迷っているオレに背中を押してくる発言をした。

「看護師がそばについているからオシッコが出ないんですよね。じゃあ、立ってもらっても、僕はサポートせずに、外にいます。さらに、今の時間、トイレに行く人はいないから、1時間でも何時間でも、トイレに時間無制限で入っていてください。」

マジで?

病院のルールで、看護師がついていなきゃいけないんじゃないの?

「トイレ行きますか?」

看護師はもう一度聞いてきた。

「行きます」

オレは車イスに乗せられ、トイレに入った。

「じゃあ、僕は他の見回りに行きますんで、何かあったら呼んでください」

なんということだろう。

オレを一人にしてくれるとは!

で、まだ二本足だけで立つ体力がないから、壁に寄りかかりながらオシッコをすると・・・

 

でた!

普通に出た!

オシッコが出ただけでこんなに感動するとは・・・

計量カップに尿を取り、さっきの看護師さんを呼んだ?

「どうです?」

「普通にでました。ありがとうございます!ありがとうございます!」

 

オレは看護師さんに感謝しきりだった。

 

「心理的なものだと思っていましたよ。自宅では普通に出るんですよね?だから、あらゆる条件を外してみました」

「そうなんですか!ありがとうございます!」

「これで出なかったら、いよいよ泌尿器科の先生に来てもらおうと思っていましたけど・・・」

オレは病室のベッドに戻るまでの間、しきりにありがとう、ありがとうと、この看護師さんに感謝した。

ベッドに戻って、思った。

マジ神。

あの看護師さん、マジ神だぜ。

苦手だった看護師さん、明るいところで見るとマジでイケメンだったのも驚いた。

その夜、眠れないので、他のことでもいろいろ相談に乗ってもらったりした。

看護師さんが、マジ神だと思えた一時だった。

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