ノブオの恋愛遍歴【第5話】

ノブオの女性歴(出会い)

午前10時、オレと彼女はホテルを後にした。

帰りのタクシーの中で、彼女は言った。

「次、会うときは・・・私の部屋に来ない?」

「えっ?」

あれだけオレを部屋に呼ばなかった彼女が、どういう風の吹き回しだろう。

オレが毎回、ホテル代を支払っているから、気を使ってくれたのか?

それとも、彼女がオレに心を開きかけてくれたという証だろうか?

彼女のマンションの前にタクシーが止まり、降り際に彼女は言った。

彼女:「じゃあ、明後日ね」

オレ:「うん」

オレは右手を上げて、笑みを送った。

 

家に着き、オレはベッドに寝転んだ。

実をいうと、昨日はほとんど眠れていない。

ウイスキーの小瓶を一本開け、それでも酔えないので、フロントに電話してもう一本持ってきてもらった。

彼女は夜の商売が長かったと言っていたから、いろいろな過去があるのだろう。

果たしてこの先、オレは彼女の全てを受け入れてあげることができるのだろうか?

オレもいろいろ、やんちゃはしてきたけれど、彼女にはオレでは支えきれない、過去があるような気がする。

そんなことを考えていたら、いつのまにか、オレは眠ってしまったようだ。



翌々日の正午、オレは彼女にメールを打った。

「今から家を出るよ」

しばらくして、彼女から返信があった。

「わかった。待ってる。905号室だから」

オレは地下鉄に乗って、彼女の住むマンションに向かった。

残念ながら、オレは車を持っていない。

20代の頃まで所有していたが、オレは運転するとすぐキレるし、飲酒運転はするし、自分でも「危険人物」だと感じていた。

もしオレが今も車を所有していたら、今頃、間違いなく、取り返しのつかないことをしていただろう。

彼女のマンションは、地下鉄の駅から徒歩5分圏内だ。

しかも、繁華街のすぐ側にある。

交通の便はバツグンだった。

オレは彼女のマンションまで歩いていき、オートロックのドアの前まで来た。

「9.0.5…呼」

オートロックなんてあまり使ったことのないオレは、不器用にボタンを押した。

「はい・・・」

彼女が出た。

「オレ、着いたよ」

オートロックのドアが開き、オレはエレベータに乗った。

9階っと・・・最上階か。

エレベータのドアが静かに締まり、かすかなGがオレの体にかかった。

9階についてあたりを見回すと、左手の一番角の部屋のドアの前に、彼女が立っていた。

つづく

 

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