【ST視点】オーストラリア発達障害の子どもと作業療法(OT)|ことばや関わりにどう関係する?

その他療育(OTなど)

こんにちは、オーストラリア在住すピーチパソロジストのMiwaです!
小児STとしてオーストラリアで働く中で、作業療法士(OT)にもかかることを勧めることがあります。

それは、ことばの遅れやコミュニケーションの課題と、感覚や体の使い方、注意・集中力の発達は、密接に関わっているからなんです。

私自身、スピーチセラピストとして様々な発達特性のあるお子さんと関わる中で、作業療法士と連携を取ることも多々。「ことばの支援」と並行して作業療法(OT)を取り入れることで、より包括的な発達サポートが可能になることを実感してきました。

この記事では、スピーチセラピストの視点から、作業療法ってなに?、どう役立つの?をお伝えします。

作業療法(OT)とスピーチセラピー(ST)の違いと連携

作業療法(OT:Occupational Therapy)は、オーストラリアで発達障害の子どもが日常生活で必要な動作や感覚調整、集中力、社会的スキルなどを身につける支援を行う専門職です。一方、スピーチセラピー(ST:Speech Therapy)は、ことばの発達、発音、コミュニケーション、摂食などにフォーカスします。

オーストラリアでは、発達障害(ASDやADHDなど)のある子どもに対して、ことばの発達だけでなく、体の動きや感覚、注意の持続なども考慮しながら、OTとSTが連携して支援するケースが多くあります。これにより、より包括的なアプローチが可能になります。

実際の支援場面では、OTが姿勢や感覚の土台を整え、STが模倣・やりとり・ことばを引き出す流れがうまくかみ合うと、ことばの成長が一段と促されるケースがよく見られます。

ことばと「体・感覚・注意力」の深い関係

一見ことばの問題に見える課題も、実は体や感覚の発達が関係していることがあります。たとえば:

  • 発音がはっきりしない → 姿勢が不安定で口の動かし方に影響がある
  • 話す気持ちが弱い → 感覚過敏があり、人とのやりとりに疲れてしまう
  • ことばが増えない → 注意が続かず、関わりのきっかけをつかめない

オーストラリアでスピーチセラピーを受けていても、こうした背景要因が見逃されることがあります。スピーチセラピーだけでは届かない課題も、作業療法(OT)が支援することで「ことばが入りやすい状態」に近づきます。

OTセッションでは何をする?

作業療法の内容はお子さんの特性によって大きく異なりますが、スピーチセラピーと連携している場面では以下のような支援がよく見られます。

  • 感覚統合あそび:ブランコ、トランポリン、重い物を運ぶなど→自己調整力の向上
  • 粗大運動・微細運動:バランスボール、ピンセット遊び→模倣力、手先の協調性アップ
  • 日常動作の練習:着替え、食事→自己肯定感と自立を支援

こうした活動を通して、子どもが「安心して」「集中して」人と関わる準備が整います。その上で、STがことばやコミュニケーションを引き出すと、支援の相乗効果が生まれます。

OTが必要かも?と感じたときのサイン

オーストラリアでスピーチセラピーをしている中で、以下のような特徴があるお子さんには、作業療法の視点が加わると有効なことが多いです:

  • セッション中じっと座っていられない
  • 感覚に敏感(音、光、におい、服のタグ)または鈍感
  • 筆記や着替えが極端に苦手
  • ごっこ遊びや模倣が難しい
  • 手先が不器用でイライラしやすい

こうした場合、保護者に作業療法(OT)の紹介を提案し、必要に応じてNDISやGPとの連携を行います。
参考:発達マイルストーン

オーストラリアでOTを受けるには?

オーストラリアでは以下のような方法で作業療法の支援を受けることが可能です。

  • NDIS(国家障害保険制度):Early Intervention枠または正式なプランを通じて利用可能
  • GP経由の紹介:Medicare経由のrebateを活用(Chronic Disease Management Planなど)
  • 公的機関や学校のOT:一部の学校や地域ヘルスサービスで提供
  • 民間クリニックのOT:自費またはNDIS経由で予約。小児専門やASD特化型のクリニックも多い

作業療法(OT)を選ぶ際は、「発達障害や感覚統合に理解があるか」「文化や言語に配慮があるか」も大切な視点です。

OTとSTが連携して目指すゴール

スピーチセラピーと作業療法は、「できないこと」に注目するのではなく、「できそうなこと」を増やすための支援です。

OTが子どもの土台(体・感覚・注意)を整え、STがその上にことばややりとりの力を築いていく。これが連携の理想的な形です。

オーストラリアで発達障害の子どもを育てる親御さんにとって、OTとSTを組み合わせることで、より効果的にお子さんの「伝えたい・関わりたい」という力を引き出せるはずです。私たちセラピストにとって、保護者と一緒に「その子らしい成長」を支えることが一番の目標です。

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