「オーストラリアって自然がいっぱいでいいよね!」
そう言ってくれる友人は多いですが、まさかその“自然”が家の中に侵入してくるなんて、あのときは思ってもいませんでした。
突然のメッセージ「ポッサム落ちてきた」
当時、私はアデレードで大学の実習中。同棲前だったものの、パートナーの家に頻繁に泊まっていました。ただその日は、朝から自宅で課題準備をしていたところ、彼から一通のメッセージ。
それが、「ポッサム落ちてきた」という、なんとも想像しがたい言葉と、写真1枚。
そこには、冷蔵庫の上に開いた小さな穴と、その穴から半分だけ出たフサフサのしっぽ。
「なにこれ?ぬいぐるみ…じゃないよね?」
冷蔵庫上からまさかの侵入者
話を聞くと、どうやら天井裏の穴からポッサム(フクロギツネ)が落ちてきたとのこと。
オーストラリアでは珍しくない存在とはいえ、室内に突然現れればパニックになります。
彼は最初、叫びながら部屋から飛び出し、その後、ポッサムと目が合いながら距離を取りつつ追い出し作戦を敢行。幸い、ドアを開けて数時間粘った末に、なんとか外へ逃がすことに成功したそうです。
それで終わり…ではなかった
その出来事は一度きりの笑い話になるかと思っていました。でも、ポッサムは縄張り意識の強い動物。
その後も頻繁に天井裏を移動する音や、壁の中から聞こえるゴソゴソ音。気配はずっと続いていました。
しかも最終的には、家族を作ってしまった様子。夜になると親子で天井裏を走り回る音がして、眠れない日もありました。
シェアハウスだからこその問題
この家は、私と彼、そしてもう一人の友人と3人で暮らすシェアハウス。
賃貸だったので、大掛かりな修理や駆除は難しく、オーナー側も「ポッサムなら仕方ないよね」的な対応。
オーストラリアでは野生動物の扱いには厳しい保護規定があり、勝手に追い出したりするのも難しい状況でした。市役所に連絡しても、基本は「自費でライセンスを持った業者に依頼してください」とのこと。
ポッサムと過ごした2年間
結局、私たちはその家で約2年間を“ポッサム付き物件”として暮らすことに。
最初こそ驚きと恐怖でしたが、次第に「今日も帰ってきてるな」「あ、子どもの声がする」と、徐々に親近感さえ湧いてしまいました。(天井からポッサムのおしっこが垂れ流れているのを見たときにはそんな気持ちは一気に吹き飛びましたが。)
引っ越し前には、「今度の家にはついてこないでね」と本気で願いながら、最後の夜を過ごしたのを覚えています。
オーストラリアで暮らすということ
この経験を通して、“海外生活のリアル”はガイドブックに書いていない部分にこそあると実感しました。
たとえば:
- 天井裏の音に敏感になった
- 家の構造や穴の場所に自然と詳しくなった
- 野生動物との共存について考えるようになった
異国の暮らしには、便利さやおしゃれさだけでなく、こうした“思いがけない同居人”との生活も含まれているのかもしれません。
まとめ
オーストラリアでの生活には、日本では考えられない出来事が日常のように起こります。今回のポッサム騒動もそのひとつ。でも、その“驚き”や“対応の経験”こそが、海外暮らしの面白さでもあると感じています。
この記事を読んでくださった方も、もしオーストラリアに住むことがあれば、「天井から何か落ちてこないか」ちょっとだけ気にしてみてください。
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